◎補注
□キャメロット = 「椿(カメリア)」を捩った偽名。
□トラヴィアータ(キャメルの暗号名) = 「椿姫」の原題。「道を誤った女」の意。
□ロートカッペン(チェチェの暗号名) = 「赤ずきん」を指すドイツ語。
□セクリタ(マフィア) = 「秘密」を意味するルーマニア語。
□ユーグレ(国家共同体) = 「ヨーロッパ・グレートブリテン連合」本作におけるEU。
□機関イリィ(諜報機関) = 「イッヒ・ビン・アイン・ベルリーナ」の略号。西側諜報機関。
□プリ・マルティエ(喫茶店) = 「Primavara(春)」と「Martie(3)」の造語。◯聖フランチェスコ教会前(朝・晴)教会の外、歌を口ずさみながら歩くキャメロット。
キャメル「黄昏の朝」
キャメル「僕は佇む」
キャメル「一人、楽園の外で」
キャメル「自分が、壊した世界を背に思う」
キャメル「今は、もう帰り得ぬ日々を」
※歌=【http://zoome.jp/238undieu/diary/4/】のテロップ部分参照[VOON] テユベスクの歌・Theendofeden.キャメル「ふふ」
◯聖フランチェスコ教会内(朝・晴)天蓋から漏れる光に包まれながら、祈りの言葉を呟くジンロウ。
その背後からつかつかと忍び寄るキャメロット。そして向き合う二人。
ジンロウ「ダン ル クレプスキュール デュ マタン」
ジンロウ「ジュ レストゥ ドゥブン トゥー スール」
ジンロウ「オ デュオー デュ パラディセ ル モンド ク ジェ カセ」
ジンロウ「アン レヴァン デ ジュール キ ヌ ルヴィエンヌ ジャメ」
(黄昏の朝、僕は佇む、一人楽園の外で、自分が壊した世界を背に思う、今は、もう帰り得ぬ日々を)※フランス語=【http://zoome.jp/238undieu/diary/4/】の冒頭参照※聖書の一節を呟いてるイメージ。仏語なので、アニメ巌窟王の冒頭みたいな・・・近づいてくるキャメロット、呼応し振り向くジンロウ。
互いに歩を進め合い、教会中央で立ち止まり向き合う。ジンロウ「牧者でなく、羊の所有者でない雇い人は」
ジンロウ「狼の来訪を知ると、羊を置き去りに、逃げて行くでしょう」
ジンロウ「それで狼は羊を奪い、また散らすのです」
ジンロウ「・・・」
ジンロウ「ヨハネの福音書、第十章十二節」
キャメル「私は知っています」
キャメル「狂暴な狼があなたがたの中にはいり込んで来て、群れを荒らし回ることを」
キャメル「・・・」
キャメル「使徒 第二十章二十九節」
ジンロウ「おはようございます。アルフォンシーヌ=キャメロット」
キャメル「本来なら、おやすみなさいの間違いでしょ・・・ジェレミル=ドネロゥ」
キャメル「まさかあなただったとは、ね」
キャメル「イッヒ・ビン・アイン・ベルリーナ、機関イリィの草が」
ジンロウ「ええ、化けの皮が剥がれたようで」
ジンロウ「赤ずきんをやり過ごしても、ハンターは欺けなかった」
キャメル「当然だわ」
キャメル「セクリタを舐め過ぎよ、ジェレミル=ドネロゥ」
ジンロウ「はは」
ジンロウ「・・・」
ジンロウ「えっと、それで・・・どうします?」
キャメル「知ってるでしょ」
キャメル「ロムニアは野犬が多いの」
キャメル「狂犬病なら・・・そのまま(首を切る仕草)」
ジンロウ「・・・取引、ね」
ジンロウ「成る程、ではご用件を」
キャメル「いい、ジェレミル=ドネロゥ」
キャメル「貴方には、ロムニアを出て貰う」
ジンロウ「それならば云われずとも・・・ですが」
キャメル「違う違う、貴方一人じゃない」
キャメル「壁の向こうの、自由の世界に」
キャメル「連れて行って欲しい子がいるのよ」
NEXT:PBS02(01=市街地 02=パン屋)http://238undieu.blog73.fc2.com/blog-entry-235.html◯聖フランチェスコ教会内(朝・晴)キャメロットの提案に、驚くジンロウ。
一瞬油断した彼女の背後から、絶命の一撃を加える。
ジンロウ「ロートカッペンを・・・?」
キャメル「ええ」
キャメル「彼女を、ユーグレ」
キャメル「ヨーロッパ・グレートブリテン連合へ」
ジンロウ「分かりました・・・とはいえしかし意外です」
ジンロウ「僕はてっきり、ブランチェットも刺客とばかり」
キャメル「そう、思ってね」
キャメル「さっきイェフレイトルに聞いたわ」
キャメル「彼女はまだ、動いていないみたい」
キャメル「多分、指揮をとる大佐の事だから」
キャメル「最も残虐な終幕を、画策しているに違いないわ」
キャメル「わたし」
キャメル「彼女には、もうこんな事へ関わって欲しく無い」
キャメル「・・・」
キャメル「・・・くすっ」
キャメル「話しすぎたわ・・・行きましょう」
キャメル「じきに増援がやって来る」
ジンロウ「・・・そうですね」
キャメル「あの子を台無しにしたら、いい?」
キャメル「私が貴方を、一生涯賭し許しはしないわ」
ジンロウ「ええ・・・」
ジンロウ「ブランチェットの事、僕に任せて下さい」
ジンロウ、背後からナイフを抜き出し醜悪に笑む。キャメル「な・・・ジェレミル=ドネロゥ?」
ジンロウ「トラヴィアータ『道誤りし』椿の姫」
ジンロウ「貴重な情報を・・・本当に有り難う」
キャメル「ん・・・あがッ!」
キャメル「あ・・・んた・・・はァッ!」
ジンロウ「春を売る君、血に塗れた残り香さえかぐわしい」
ジンロウ「さようなら、アルフォンシーヌ=キャメロット」
キャメル「チェ・・・チェ・・・(事切れる)」
ジンロウ「コソボ紛争」
ジンロウ「妹さんと、重ねてたんでしょう?」
ジンロウ「可哀想に、その拘泥が仇となった」
ジンロウ「でも大丈夫」
ジンロウ「遺言は・・・ちゃんと守ります」
ジンロウ「彼女への執着は、貴女だけでは無いのですよ」
※ここでキャメロットの台詞は終わりです。
次に登場する時は、既に死体になった状態です。NEXT:PBS04(セクリタ支部・アクションシーン)http://238undieu.blog73.fc2.com/blog-entry-192.html◯プリ・マルティエ屋外(昼・曇)チェチェと携帯で話す、ジンロウ。
電話先の異常感に戸惑いながらも、区切りをつけ切る。
ジンロウ「ええそうです・・・ブランチェット」
ジンロウ「プリ・マルティエで、待っています」
チェチェ「うん、うん!」
チェチェ「すぐ行くよ、ボク!」
ジンロウ「ええ」
ジンロウ「雨、降りそうだから」
ジンロウ「傘、忘れないで・・・うん」
チェチェ「ボクね・・・ジンロウ」
チェチェ「何があっても絶対行くから!」
チェチェ「だからお願い・・・其処で待ってて、下さい」
ジンロウ「・・・ん?」
ジンロウ「分かっていますよ、ブランチェット」
切れる電話。
ジンロウ「不思議な感情だ・・・」
ジンロウ「人間として、完全に失格した僕の心が」
ジンロウ「いまだにこうして、それも一人の少女を只求めるなんて」
ジンロウ「一体どうしてしまったんだ・・・ジェレミル=ドネロゥ」
ジンロウ「この場で待つ危険・・・或は彼女を信じる危険」
ジンロウ「これでは機関イリィとしてさえ、完全に失格ではないか・・・!」
ジンロウ(・・・雨があがるまで。それまではせめて)
◯聖フランチェスコ教会前(昼・曇→雨)教会前に俯く、キャメロットの死体。
雲の合間から、ポツポツと雨が降り出す。
第三話・了。
-- 続きを閉じる --